
グローバル化が進む現在、英語を使ったコミュニケーションを求められる場面は日本国内においても着実に増えてきています。英語を使いこなすことで進学や就職においても利点が多く、幼少期から子どもたちに英語を学ばせようとする過程も増えてきています。本記事では、幼少期から英語を学ぶ早期英語教育のメリットと、母語である日本語の学習と両立させていく上での注意点をご紹介します。
目次
これからの時代は「英語を話す」が当たり前に?
先述の通り、グローバル化が進む昨今、日本国内でも高い英語能力を求められる場面は増えています。外国人観光客や労働者の数も年々増しており、身近な場面で英語を使ったコミュニケーションが必要になることも珍しくありません。また、そのような英語を日常生活において活用する流れは教育現場においても見られ、2020年度の学習指導要領の改訂によって小学校三年生から「英語」が必修化されるようになりました。
また、海外進出する企業が増加しているほか、国外からの人材の流入が加速していることにも伴い、ビジネスの場面においても英語力が求められています。外務省の統計によると海外在留邦人数は2024年においておよそ1,290,000人で、20年前(2004年)からおよそ30万人の日本人が海外で生活を営んでいます。
以上のことから、日本に住んでいながらも英語を必要とする場面は多く、これからの時代を生きる子どもたちにとって英語でのコミュニケーションがとれるようになることは必須であると思われます。
早期英語教育のメリット
それでは、幼いころから英語を学ぶメリットとは何でしょうか。大きく分けて3点のメリットをご紹介します。
1 言語習得のハードルが低く、発音やリスニング力が身につきやすい
英語に限らず、幼少期は脳が言語を吸収しやすい時期であると科学的に証明されています。特に10歳ごろまでを「臨界期」と呼び、この時期に言語を学習することでより自然な発音や高いリスニング力を身につけることができるといわれています。また、日本語ネイティブにとって英語は母語と発音が異なるため、大人になってから自然な発音を身に着けることがかなり難しい言語です。しかし、子どもの耳は敏感で英語の「音」にも自然に慣れることができ、より自然な発音を習得することができます。
2 英語への抵抗感が薄くなる
しばしば学校での英語の学習が苦痛だった、おもしろくなかったという経験から、英語を活用することに対して抵抗感を覚える方が見られます。文法も発音も日本語と全く異なる英語を学習することに対し、難しさを感じることはまったく珍しいことではありません。しかし、幼少期からゲームや歌を通して楽しく英語を学ぶことで、英語が身近な存在となり、成長してからも本格的に文法や発音を学ぶことに抵抗感を抱きにくくなることがあります。
3 将来の選択肢の幅が広がる
高い英語能力はビジネス、学業のいずれの場面においても大きなアドバンテージとなります。高校入試、大学入試において一定以上の英語力が認められると、入試の点数への加点や一部受験科目が免除される場合があります。また、一部の私立中学校においても英語資格のスコアや英語科目での受験が認められているなど、進学において高い英語力は非常に有利です。また、就活や転職、人事異動などビジネスのあらゆる場面においても高い英語力がアドバンテージとなり、将来の選択肢の幅を増やすことができます。
早期英語教育の注意点について
幼少期からの英語教育には上記のような様々なメリットがある一方で、注意しなければならない点もあります。大きく分けて3点ご紹介します。
1 プレッシャーをかけすぎないこと
高い英語力を身につけさせたいあまり、子どもの気持ちを置き去りにして英語力の習得に力を入れすぎると、かえって子どもにとっては英語がプレッシャーになってしまうことがあります。知らず知らずのうちに子どもが英語嫌いにならないよう、楽しく学べる環境づくりを行うことが重要です。
2 日本語の発達とのバランスに注意する
幼少期の言語学習においては、母語の発達も非常に重要なポイントです。母語の習得をおざなりにしてしまうと、日本語の語彙や表現、思考能力が十分に伸びなくなる恐れがあります。英語に限らず、第二言語の学びを深めるためには、やはりベースとなる母語でしっかり思考できることが必要です。母語と第二言語をバランスよく学ぶことができないと、いずれの言語も年相応のレベルまで達することができていないダブルリミテッドと呼ばれる状態に陥ってしまうことがあります。
3 教材が高額になりすぎることも
現在子ども向けの英語教材は、対面での英語教室からオンライン学習、テキスト、タブレット学習など様々な種類、媒体を活用して販売されています。その中には非常に高額な教材もあるほか、一つ一つの値段がリーズナブルであっても、買い集めると知らないうちに高額になってしまうというケースもあります。教材を選ぶ際には、子どもの学習スタイルや好みに合っているかを慎重に検討し、購入することが重要です。
まとめ
早期英語学習のメリットと注意点についてご紹介しました。幼少期から英語を学ぶことで、自然な発音や高いリスニング力を身につけやすく、流暢な英語を獲得できる可能性がぐっと高まります。その一方で、過剰なプレッシャーを与えすぎるとかえって英語嫌いになってしまったり、日本語の発達とのバランスに注意する必要もあります。子どもの興味関心に合わせ、楽しく学べる環境の中で英語を身につけましょう!
原稿:鈴木優衣