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TOP大前研一ニュースの視点blogKON1047「自民党総裁選/自民党・小林前経済安保相/中古マンション価格/AIモデル調査」

KON1047「自民党総裁選/自民党・小林前経済安保相/中古マンション価格/AIモデル調査」

2024.08.30
2024年
KON1047「自民党総裁選/自民党・小林前経済安保相/中古マンション価格/AIモデル調査」

▼自民党総裁選 9月総裁選への不出馬表明
選挙の顔と期待される小泉氏、長期政権は望まれず?

岸田総理は14日、9月の自民党総裁選に出馬せず、任期で退陣する考えを表明しました。これについて岸田氏は「自民党が変わることを示す最も分かりやすい第一歩は、私が身を引くこと」と述べ、これにより政治資金問題の責任を取ると説明。これを受け、石破元幹事長や加藤元官房長官、河野デジタル担当大臣などが出馬の意向を示し、立候補に必要な20人の推薦人集めに動き始めました。

結論から言うと、私は小泉進次郎氏で決まりだと思っています。その理由は明確で、現在の自民党は今回の総裁選直後にかなりの盛り上がりを見せると予想されるからです。対する立憲民主党の存在感が薄いこともあり、自民党としては総裁選での盛り上がりを、そのまま総選挙へとつなげたいとしているのではないでしょうか。そうなると選挙の顔としては、小泉氏しか考えられません。しかしポエム大臣と呼ばれる小泉氏は、選挙戦では強みになるかもしれませんが、長期的な政権運営は難しいでしょう。その辺をよく知る小泉純一郎元総理は、10年早いと進次郎氏の出馬を止めているという話も聞きます。けれども河野氏、加藤氏、石破氏では、強い印象を与えることはできません。特に5回目の出馬となる石破氏は総決算などと言っていますが、これまでの総裁選ではどんな国家ビジョンを出したというのでしょうか。また私は林氏がいい候補者だと思いますが、官房長官という立場により出遅れた感は否めません。

▼自民党・小林前経済安保相 9月総裁選立候補で脱・派閥選挙訴え
具体策を示さない候補者、ネット時代の情報戦で先行き暗し

自民党総裁選への立候補を表明した小林鷹之前経済安全保障担当大臣は19日、「自民党は生まれ変われることを証明したい」と述べ、脱派閥選挙を訴えました。しかし小林氏は2018年と21年に旧統一協会の友好団体、UPF関連のイベントに出席したほか、21年の衆院選の際、党の千葉県第2選挙区支部が小林氏に無償提供した事務所費28万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことが明らかになっています。

小林氏は確かに若く、クリーンなイメージを持っていますが、立候補表明時の発言を聞いていると、若さ以外に具体的な政策やビジョンが見えませんでした。フランスのマクロン氏やカナダのトルドー氏など、ヨーロッパやG7諸国などでは40代でトップに立った政治家がいることを挙げ、私もぴったりだと主張していますが、年齢だけで総裁にふさわしいというのは安易ではないでしょうか。東大卒で大蔵省というキャリアは確かに立派ですが、若い人が総裁になれば自民党が変わったことを証明できると主張するだけで、日本をどうしようとしているのかという具体策はありません。さらに旧統一教会との関係や選挙での支援など、ネット時代ならではの情報の広がりによって、クリーンなイメージで登場したにもかかわらず、すぐに批判の的となりました。

このような状況を見ると、小林氏の勢いは今後それほど伸びないと思います。一方、小泉進次郎氏は選挙向けのポエム的な発言は得意でも、まともな自分の主義主張は言えないでしょうから、選挙で勝利した後はしっかりと行政ができる人に交代し、自民党はずるいやり方を進めるのではないかと思います。

▼中古マンション価格 東京3倍、大阪2倍に上昇
都心マンション高騰の一因は、退職後の高齢者による住宅選択か

10年程度の中古マンションの価格を新築時の販売価格と比較したところ、大阪市で2倍、東京都で3倍に上昇していることが分かりました。六本木周辺では麻布台ヒルズが開業したほか、JR大阪駅周辺では100年に一度と言われる再開発が進行し、資産価値が高まったもので、世界の主要都市と比べて割安感があることから、外国人投資家からの引き合いも強いということです。

都心3区のマンションは、築20年、築30年であっても価値が下がらないどころか、むしろ上がる傾向にあります。交通の便はもちろんよく、外国人投資家からの人気は高いですが、退職後に都心暮らしを楽しむために購入する人も多いと私は感じています。かつては郊外から1時間ほどかけて通勤していた人々が、退職後に都心に引っ越してくるという不思議な現象が起きているようです。

例えばサントリーホールでのコンサートでは、以前は最終電車や自宅から最寄りのバスの時間を気にして、アンコール中に帰る人が多かったのですが、最近ではそういった姿はほとんど見られません。私なんかは逆に、いつまでアンコールやってるんだ、もうやめてくれ、拍手をやめろなんて思いますが(笑) コンサートの観客で後ろ姿を見ると、恐らくは都心に住んで、帰りの時間など気にしない高齢者が多いのではないかと思います。

都心にはデパートに行ったり、谷中の町を散策したりと、楽しみがたくさんあります。こうした現象を見ると、もっと早くから都心に住んで、通勤の負担を少なくすれば、体力ももっと残ったのではと思わずにはいられません。しかし、これが日本の特徴的な住宅選択なのでしょう。

中古マンション価格の推移のグラフによると、都心6区のマンション価格は上昇傾向にあり、23区全体でも同様の傾向が見られます。私が所有する築30年のマンションでも、購入当時よりも上回る価格で購入したいという人が多くいます。賃貸に出しても売却してもメリットは大きいですが、今の低金利の状況では賃貸収入を得続けるほうが有利かもしれません。

▼AIモデル調査 国内外主要AIモデル42件を評価
AIモデル進化を後押しするのは、激しい開発競争

日本語で使える国内外の主要AIモデル42件を対象に、会話力や道徳性など14の指標で評価したところ、アメリカの新興企業アンソロピックの最新モデル「クロード3.5ソネット」が首位だったことが分かりました。また2位オープンAIの「GPT-4o」は偏見抑止など、リスク対応の指標が1年で大きく改善したということで、AIの雇用や悪用への懸念が高まる中、主要企業が対応を急いでいる現状が示されました。

この業界では、技術者が似たような会社を移動することは珍しくありません。今回の調査ではアンソロピックのモデルが一番使いやすいということですが、数カ月後には状況が変わっているでしょう。それほど今、AIの開発競争は激しく動いています。

—この記事は2024年8月18日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています。

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