
ジュニアドクター育成塾とは何か
https://www.jst.go.jp/cpse/fsp/より引用
ジュニアドクター育成塾は国立開発研究法人科学技術振興機構が全国の理数系に優れた小中学生に向けて提供しているプログラムです。
国立研究開発法人科学技術振興機構のジュニアドクター育成塾ホームページでは、以下のように説明されています。
・科学技術イノベーションを牽引する傑出した人材の育成に向けて、高い意欲や突出した能力のある小中学生を発掘し、さらに能力を伸長する体系的育成プランの開発・実施を行うことを支援します。
自己推薦のほかに、学校や教育委員会からの推薦や各種オリンピックや科学の甲子園ジュニア出場者など、各地域における意欲のある小中学生を全国から募集し、各種講義や研究施設の見学、少人数での実験などを通じて科学技術人材としての基盤を構築します。さらにその中から特に意欲・能力の高い小中学生は配属する研究室とのマッチング、研究・論文作成における指導教員の個別指導、各種機会での発表等により、創造性・課題設定能力・専門分野の能力を伸長する機会を得ることができます。
ジュニアドクター育成塾で提供されるプログラム
現在、ジュニアドクター育成塾で提供されているプログラムには国内の各種高等教育機関等と連携したものがあります。以下に一覧を記載します。
機関名 | プログラム名 | 内容 | 募集開始時期 (令和6年度) | 対象年齢 (令和6年度) |
山形大学 | 理科・算数・数学が好きな小・中学生の科学的思考力や論理的思考力、情報活用能力を伸ばすプログラムを無料で提供する。次年度には、受講生から選抜された10名が第2段階(ドクターコース)へと進み、自分の興味のある研究テーマについて研究を行う。 | 5月上旬 (年間スケジュールはこちら) | 小学5年生から中学3年生 | |
東北公益文科大学 | プログラミングの基礎を通じて身近な情報をどのようにデジタル化するかを学ぶ。JAXA講師やエンジニアなど最先端のIT技術に触れている人たちとの交流イベントも開催。さらに講座の終わりには受講生それぞれが自らのアイデアをもとにプログラム作りを行う。 | 昨年度募集時期は公開なし (年間スケジュールはこちら) | 小学5年生から中学3年生 | |
筑波大学 | つくば市内の小中学生を対象に、市内の様々な教育機関と連携しての講義・実習を実施する。夏休み・冬休みには地質学や気象学、化学などの実習を行うサイエンスキャンプを開催する。 | 5月上旬 (令和6年度募集要項はこちらから) | 小学5年生から中学3年生 | |
富山高等専門学校 | 海洋関係の課題解決型学習、ロボットプログラミング実習などの各種プログラムを開催し、科学への関心を高める。優れた成果が出た場合には、外部コンテストや学会などでの発表を目指す指導を受けることも可能。 | 4月15日~5月6日 (令和6年度募集要項はこちらから) | 小学5年生から中学3年生 |
このほかにも、令和五年度(2023年)からは次世代科学技術チャレンジプログラムが提供されています。このプログラムでは、理数系に優れた子どもたちの能力を伸長するために、国内の高等研究機関と連携した研究機械提供・交流を行っています。
各種プログラムの募集要項や募集時期については、上記の各機関のホームページのほかに、国立研究開発法人科学技術振興機構のジュニアドクター育成塾ホームページにおいても確認することができます。
ジュニアドクター育成塾での実績はどのように活かされる?
ジュニアドクター育成塾での実績は、子どもたちの進路やキャリアにどのように生かすことができるのでしょうか?まず、このプログラムや各高等教育機関と連携して行われる講義、実習では各分野の専門性を伸ばすだけでなく、子どもたちの課題解決能力や探求力といった、研究や学問一般において求められる能力の育成も目指されています。そのため、プログラムを受講した子どもたちは受講後も主体的に課題を設定し、探求する力がつくことが期待されます。
さらに、優れた研究、活動実績が出た場合は学会などでの発表機会を得ることができるほか、個別の研究・論文作成指導も行われることがあります。このような機会を幼少期に経験することは、子どもたちの今後の研究人生に必ず良い影響を与えるだろうと考えられます。
まとめ
ジュニアドクター育成塾は、理系分野に優れた小中学生を発掘し、彼らの専門性や研究に必要な各能力を育成するための様々なプログラムを提供しています。普段の生活ではなかなか経験することのできない科学の実験や観察、研究施設の見学、研究者との交流など、科学にまつわる様々な経験を得ることで、子どもたちの理系分野への関心や意欲を育成することができます。また、これらの受講料は無料で提供されており、理系分野に関心を持つ、または優れた実績を持つ小中学生であれば誰でも選考に参加することが可能です。
ジュニアドクター育成塾を通じて理系分野に優れた小中学生を見つけ出し、彼らに適切な学びの機会を提供することで、将来の日本、および世界の科学技術の発展をけん引する人材が数多く現れることが期待されます。
原稿:鈴木優衣