Society5.0をリードし、SDGs達成をけん引するグローバルな人材を育成するために、日本の高等学校と国内外の大学・企業・国際機関等が共同して高校生へ高度な学びを提供するWWL事業(ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築支援事業)に注目が集まっています。
目次
WWL事業(ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築支援事業)とは？
これまで日本では、SSH指定校の取り組み(詳しくはこちらを参照)の実績をはじめとして、グローバル人材の育成に向けた様々な取り組みを展開してきました。
WWL事業では、高等学校等の先進的なカリキュラムの研究開発・実践と持続可能な取組とするための体制整備をしながら、高等学校等と国内外の大学、企業、国際機関等が協働し、テーマを通じた高校生国際会議の開催等、高校生へ高度な学びを提供する仕組み（ALネットワーク）の形成を目指します。このALネットワークは、一つの高等学校を取り巻く環境を整備するだけではなく、高等学校間のネットワークも形成し、多様な学びを生み出す役割を果たしています。
さらに、国内外の連携を強化する手段として、オンラインカンファレンスや模擬国連の開催、国際機関を拠点とした各種イベントなどが実施されています。これらの国際的な活動により、高校生の英語力やプレゼンテーション能力、コミュニケーション能力の育成にも寄与しています。
WWL事業の活動内容について
様々な機関との連携によってグローバル人材の育成を図るWWL事業では、実際にどのような活動が行われているのでしょうか？実際に国内の高等学校、国内大学で行われている取り組みをご紹介します。
WWL事業の活動内容(国内高等学校編)
1 神戸市立葺合高等学校
WWL用のホームページを開設し、学校内で行われている課題研究への取り組みやALネットワークの探求フォーラムの実施報告など、WWL事業で展開される様々な情報を発信しています。
２ 立命館宇治高等学校
APU国際学生とのオンラインディスカッションやオンライン海外研修、模擬国連の主催など様々な国際的事業を国内外の学校と連携しながら行っています。また、そのような活動内容を学校ホームページにて発信しています。
3 筑波大学附属坂戸高等学校
WWL事業の拠点校として採択された坂戸高等学校では、アセアン地域とのALネットワークを通じて地球規模課題の探究活動を行うことや、高大連携により高度な内容を高校生が学習することのできる教育体制を整えています。
WWL事業の活動内容(国内大学編)
1 筑波大学
2019年度「WWL（ワールド・ワイド・ラーニング）コンソーシアム構築支援事業」の採択機関（幹事管理機関）に選ばれた筑波大学では、全国高校生フォーラムの実施やフォーラム開催に向けての情報発信、WWLコンソーシアム構築支援事業連絡協議会の開催等を行っています。
2 広島大学
西日本の高等学校、大学、専門機関等のALネットワーク構築を担うほか、連携大学間における高大接続授業の単位互換制度についての検討も行っています。このほかにも、セミナーやフォーラムの主催を通じて、高校生に幅広いキャリアや学びを提供しています。
3 大阪教育大学
2023年度よりWWLコンソーシアム構築支援（地域アドバンスト・ラーニング・ネットワーク構築のための委託事業）に採択された大阪教育大学では、イノベーティブなグローバル人材の育成を目指したALネットワークの構築、新たなカリキュラム開発に力を入れています。また大学教育においても、SDGsに関するグローバル探求の活動を科目として採用し、生徒と教員のための「学びの共同体」としてWWL事業が機能することを目指しています。
まとめ : WWL事業の展望と課題
WWL事業は日本の高校生に幅広い学びを提供し、彼らの視野を広げるために非常に有効な事業です。その一方で、採択機関となる高等学校が限られていることや、実際の国際交流の時間に学校や催しごとの差異があるなど、改善されるべき点もあると思われます。
今後はオンラインを活用した国際交流の機会の拡大や、国内企業や団体の参画が拡大し、よりいっそう広いネットワークが構築されることで、未来のグローバル人材育成に向けての取り組みが強化されることが期待されます。
原稿:鈴木優衣
