日本の大学の推薦入試やAO入試(アドミッション・オフィス入試)では、英語力を証明する資格が評価対象となることが多くあります。この記事では、これらの入試で活用可能な主要な英語資格を詳しく紹介し、それぞれの資格が利用できる代表的な大学もご紹介します。自分に合った資格を選び、効果的に活用しましょう!
目次
- 1 TOEFL(Test of English as a Foreign Language)
- 2 IELTS(International English Language Testing System)
- 3 英検(実用英語技能検定)
- 4 TOEIC(Test of English for International Communication)
- 5 Cambridge English Qualifications(ケンブリッジ英語検定)
- 6 GTEC(Global Test of English Communication)
- 7 TEAP(Test for Practical English Proficiency)
- 8 PTE Academic(Pearson Test of English Academic)
- 9 推薦・AO入試における英語資格の選び方
- 10 試験対策のポイント
- 11 まとめ
TOEFL(Test of English as a Foreign Language)
特徴
TOEFLは米国発の英語能力試験で、主に大学・大学院レベルのアカデミックな場面で必要とされる英語運用能力を「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能で測定します。インターネットベースのテスト(TOEFL iBT)が主流で、海外の大学だけでなく、日本国内の多くの大学でも評価されています。すべての解答はコンピューターを使用して行います。
スコア
各セクション(読む、聞く、話す、書く)が0~30点、総合スコアは0~120点で表示されます。有効期限は2年間です。
料金
受験地により異なりますが、一般的に約25,000円前後(米ドルでUS$245+手数料US$40)です。
利用可能な代表的な大学・学部
早稲田大学
推薦入試等や国際系学部で高く評価されます。
慶應義塾大学
推薦入試等で使用可能です。
上智大学
国際教養学部などで積極的に利用されています。
立教大学
推薦入試等での評価対象です。
一橋大学
一部学部で推薦入試の評価基準に含まれています。
IELTS(International English Language Testing System)
特徴
IELTSはイギリス発の英語能力試験で、アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールの2種類があります。アカデミック・モジュールは海外留学や研修、ジェネラル・トレーニング・モジュールは海外移住申請などに利用されます。全国主要都市でペーパー版およびコンピューター版が受験可能ですが、Speakingセクションは対面で行われます。
スコア
1.0から9.0のバンドスコアで評価され、各技能(読む、聞く、書く、話す)のスコアと総合バンドスコアが提供されます。有効期限は2年間です。
料金
受験地により異なりますが、一般的に約25,000円前後(米ドルでUS$245+手数料US$40)です。
利用可能な代表的な大学・学部
東京大学
一部学部の推薦入試などでIELTSスコアを活用できます。
京都大学
推薦入試等での活用が可能です。
大阪大学
推薦入試等での利用が可能です。
名古屋大学
一部学部でIELTSスコアを評価基準に含めています。
英検(実用英語技能検定)
特徴
英検は国内最大級の英語能力試験で、実用的な英語力を測定します。海外での認知度は低いものの、国内の多くの大学で推薦入試やAO入試の評価対象となっています。3級以上は一次試験(読む、聞く、書く)と二次試験(話す)に分かれています。従来のペーパーテストと、1日で4技能を測定できる英検S-CBTの2種類があります。
スコア
1級から5級までの7つのレベルがあり、それぞれの級で定められた基準を満たすことで合否が決まります。
料金
受験する級により異なり、1級・準1級が約5,900円、2級が約4,900円、準2級が約3,900円、3級以下は約3,300円です。詳細は公式サイトをご参照ください。
利用可能な代表的な大学・学部
早稲田大学
特定の学部で英検を英語能力の評価基準として採用しています。
慶應義塾大学
特定の学部で英検スコアを評価対象としています。
明治大学
一部学部の自己推薦入試等で、定められた基準以上の級の英検スコアを活用できます。
中央大学
一部学部で英検スコアを推薦基準に含めています。
青山学院大学
推薦入試等で利用が可能です。
TOEIC(Test of English for International Communication)
特徴
TOEICは日常生活やビジネスシーンにおける英語力を測定する試験です。リスニング・リーディングを測る「TOEIC® Listening & Reading Test」と、スピーキング・ライティングを測る「TOEIC® Speaking & Writing Tests」の2種類があります。国内の一部の大学では基準以上のスコアを取得することで英語科目の受験免除や加点が認められます。
スコア
リスニング5~495点、リーディング5~495点、トータル10~990点のスコアが5点刻みで表示されます。
料金
「TOEIC® Listening & Reading Test」は約7,810円(税込)です。
利用可能な代表的な大学・学部
立命館大学
推薦入試などでTOEICスコアを評価基準に含めています。
関西学院大学
AO入試や推薦入試でTOEICスコアを活用できます。
法政大学
自己推薦、公募推薦、社会人入試などで活用できます。
日本大学
一部学部で推薦入試の評価基準として採用しています。
Cambridge English Qualifications(ケンブリッジ英語検定)
特徴
ケンブリッジ英語検定は国際基準の英語試験で、世界中で受験されています。A2 KeyからC2 Proficiencyまでの8種類の試験があり、大学受験にも利用可能です。国内外の多くの大学で英語力の証明として認められています。「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を測定します。
スコア
取得したスコアと、それに対応するCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)レベルが示されます。
料金
各認定試験センターにより異なり、概ね9,700円~25,000円程度です。詳細は公式サイトをご確認ください。
利用可能な代表的な大学・学部
立教大学
一部学部の自由選抜入試等でケンブリッジ英語検定を評価対象としています。
上智大学
推薦入試の際に学部ごとに定められた基準スコアを満たすことで活用できます。
関西大学
AO入試、一部学部の一般入試などで利用可能です。
中央大学
特定の学部でケンブリッジ英語検定を推薦基準として採用しています。
GTEC(Global Test of English Communication)
特徴
GTECはベネッセが実施する4技能を測定する英語能力試験です。年間2回まで受験可能で、レベルに応じて「Core」「Basic」「Advanced」「CBT」の4つの問題タイプに分かれています。試験は紙、タブレット、PCのいずれかで解答します。国内の特定の大学で英語力の証明として利用できます。
スコア
各タイプの上限スコアは以下の通りです:
- Core:840点
- Basic:1,080点
- Advanced:1,280点
- CBT:1,400点
料金
税込9,900円です。
利用可能な代表的な大学・学部
慶應義塾大学
推薦入試などで幅広く活用できます。
立命館大学
一部学部でGTECスコアを推薦入試に活用できます。
関西学院大学
AO入試や特定のプログラムで評価対象となっています。
東洋大学
特定の学部の推薦入試等でGTECスコアを利用可能です。
TEAP(Test for Practical English Proficiency)
特徴
TEAPは主に高校生を対象とした国内英語技能試験で、大学入試を想定して開発されました。テスト内容は大学教育(留学も含む)で遭遇する場面を考慮して作成されており、難易度は英検®準2級~準1級程度です。試験は解答用紙と対面形式の面接方式、もしくはコンピューターによる試験の2通りがあります。
スコア
各技能が100点満点で、トータル400点満点です。有効期限はスコア取得年度とその翌年度までです。
料金
4技能試験は税込15,000円、2技能試験は税込6,000円です。
利用可能な代表的な大学・学部
青山学院大学
一部学部の自己推薦入試等でTEAPスコアを評価対象としています。
立教大学
一部のAO入試でTEAPスコアを活用できます。
法政大学
自己推薦、公募推薦、社会人入試などで活用できます。
中央大学
一部学部でTEAPスコアを推薦基準として採用しています。
日本女子大学
学校公募型推薦入試等ででTEAPスコアを利用可能です。
PTE Academic(Pearson Test of English Academic)
特徴
PTE Academicはコンピューターによる英語能力試験で、短期間で結果が得られる点が特徴です。アカデミックな英語運用能力を「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能で測定します。スピーキングはすべてコンピューターで行われます。
スコア
10~90点のスコアで評価され、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)レベルにも対応しています。有効期限は2年間です。
料金
受験地により異なりますが、一般的に約55,000円前後です。
利用可能な代表的な大学・学部
立命館大学
一部の学部でBULATS(現在はPTE Business Academic)スコアを評価基準として採用しています。
推薦・AO入試における英語資格の選び方
以上に紹介した英語資格を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
1. 受験大学・学部での利用可否の確認
各英語資格が希望する大学や学部で認められているかを事前に確認しましょう。すべての資格がすべての大学で利用できるわけではありません。資格を受験する前、または大学受験の前に必ず確認してください。具体的には、各大学の入試要項や公式ウェブサイトで最新の情報を確認することをおすすめします。
2. 自分の英語レベルに合った資格の選択
資格ごとに求められる英語力や試験内容が異なります。自分の英語力や受験したい学部に適した資格を選びましょう。例えば、アカデミックな英語力を重視する場合はTOEFLやIELTSが適していますし、実用的な英語力を測定する場合はTOEICや英検が適しています。
3. 試験形式や受験のしやすさの考慮
試験の形式や受験のしやすさも選択の重要な要素です。オンラインで受験可能な試験や、対面での面接が必要な試験など、自分のライフスタイルや学習スタイルに合った試験を選びましょう。
4. スコアの有効期限
多くの英語資格にはスコアの有効期限があります。大学受験のタイミングに合わせて、スコアが有効な期間内に取得できるよう計画しましょう。
5. 費用と予算の確認
資格ごとに受験料が異なります。自分の予算に合った資格を選び、必要な費用を計算しておきましょう。
試験対策のポイント
①公式テキストや参考書の活用
各資格の公式テキストや信頼できる参考書を使用して学習を進めましょう。
②オンラインコンテンツの利用
YouTubeや専門サイトなど、無料で利用できるオンラインコンテンツを活用して学習効率を高めましょう。また、IELTSなどで申込者限定の無料オンラインコンテンツが提供されている場合もあります(https://www.eiken.or.jp/ielts/students_info/2023/0911_01.html)。
③模擬試験の実施
模擬試験を繰り返し行い、試験形式に慣れることで本番でのパフォーマンスを向上させましょう。本番同様の制限時間を設けて練習問題を解くことも効果的です。
④英語環境の整備
youtubeなど普段目にするコンテンツで英語が使われているものを見るなど、日常的に英語に触れる環境を作り、実践的な英語力を身につけましょう。
まとめ
大学の推薦入試やAO入試で活用できる英語資格は多岐にわたります。それぞれの資格には特徴や利用可能な大学・学部が異なるため、自分の目標や状況に合わせて最適な資格を選ぶことが重要です。早めに準備を始め、計画的に学習を進めることで、英語資格を有利に活用し、志望大学への合格を目指しましょう!
注意事項:
- 最新情報の確認: 各大学の入試要項や公式ウェブサイトは随時更新されるため、最新の情報を必ず確認してください。
- スコア要件の違い: 各大学や学部によって必要とされるスコアや資格のレベルが異なります。目標とする大学の具体的な要件を把握しましょう。
- 資格の有効期限: 多くの英語資格にはスコアの有効期限があります。大学受験のタイミングに合わせて、スコアが有効な期間内に取得できるよう計画してください。
この記事が、大学の推薦入試やAO入試で活用できる英語資格の選択と準備に役立つことを願っています。成功への一歩を踏み出し、自分に最適な資格で夢の大学生活を手に入れましょう!
原稿:鈴木優衣