事例&インタビュー
「ロジカル・シンキング研修」導入の目的・成果について
東京電力エナジーパートナー株式会社
従業員数:3,106人 ※2021年8月10日現在
事業領域:電気・ガス小売事業等
Webサイト:https://www.tepco.co.jp/ep/
インタビューにお答えいただいた皆様
東京電力エナジーパートナー株式会社 人財戦略・育成推進室
川崎人財育成センター 所長:磯野 直樹 様
川崎人財育成センター 第二チームリーダー:三浦 英起 様
※本プログラム導入当時は販売本部に所属し、人財育成をご担当
※所属はインタビュー当時(時点)の情報です。
ビジネスパーソンが成果を生むために必要な「マインド」・「スキル」・「知識」の3要素を3階建ての建物に見立てて構造化し、人財育成を通じた組織変革を推進する東京電力エナジーパートナー株式会社。その2階部分にあたる「スキル」についてAoba-BBTと連携し、特に重要な考える力(ロジカル・シンキング)の強化に取り組んだ、同社の人財育成を担当する磯野様、三浦様のお二人にお話しを伺いました。
1.貴社の人財育成課題とその背景(ロジカル・シンキング研修ご導入のきっかけや背景)について教えてください
磯野様:
当時、私は販売本部内の人財育成を担当し、研修導入の検討・実施をしていました。販売本部は、法人及び個人のお客さまに対して電気やガスなどの商品を販売し、売上を上げていくことを目的に取り組んでいる部署です。
人財育成を推進するにあたり、そもそも部門にはどのような人財が必要かという点を根本的に考えました。勿論、商材や契約内容に関する知識習得を重視したこれまでの研修も大事ですが、知識だけでなく、パソコンに例えればOSにあたる「スキル」の強化やマインドの醸成などにも目を向けるべきではないか、という結論に至りました。日々、ビジネス環境が大きく変化していますが、ビジネスパーソンとしての土台がしっかりしていなければ、業務知識を最大限に活用できないですよね。そのため、ビジネスパーソンの地力を構造化し、3階建ての建物に見立てることとしました。その一番の土台となるものが「マインド」であり、次に「スキル」、これらがしっかりと形作られることによってはじめて「知識」が定着します。マインドについては、既に社内で取り組みを始めていますが、スキルのなかでも特に重要な考える力、つまりロジカル・シンキングについては、外部の力をお借りしたいと考えました。
スキル面のロジカル・シンキングというのは、具体的にはどのようなものでしょうか?
三浦様:
電力・ガス小売全面自由化以前を振り返ると、本社主導で一定の営業スタイルを現場に示し、その型を実行するためのOJTや研修が比較的多かったです。その取り組み自体は、均一的なサービス品質を担保するために重要です。しかし、現在ではそれだけでは不十分と考えます。モノやサービスが溢れている時代、かつ、お客さまのニーズは多様化しています。お客さま自身も気づいていなかった潜在的なニーズを掘り当て、課題解決をご提案できなければ、価格競争一辺倒に陥り企業としての生き残りが難しくなります。そこで、弊社では、「お客さまの本質的な課題は何か」について、各職場でホワイトボードなどを使ってディスカッションし、「なぜ」「なぜ」を繰り返す「壁打ち」を始めています。
磯野様:
本当の意味で、いかにお客さま視点で物事を考えられるかがポイントだと思います。そのためには、何度も仮説を立てながら粘り強くお客さまとコミュニケーションを繰り返し行っていくことが重要ですが、その起点に「考える力」、「伝える力」が大切だと考えました。社員同士で議論をしても「考える力」の土台がある程度近くないと議論が噛み合わないので、まず、ロジカルに物事を「考える力」を社内で共通言語化しようという話になりました。そこで、どうすれば販売本部の一般職全員(約1,000人)に考える力を身に付ける研修を提供できるかについてAoba-BBTに相談しました。
2.研修導入に向けての貴社内での検討プロセスについて
磯野様:
研修導入の検討を始めたのは、先程の「壁打ち」ミーティングが少しずつ社内に浸透してきた頃です。日常化しつつあった「壁打ち」の精度を高めるため、多くの社員にロジカル・シンキングの研修を受講してもらい、その内容を共通言語化することが狙いでした。なかでも、議論の整理やリードを行うキーパーソンにはしっかりと身に着けてもらいたい、と考えていましたが、「壁打ち」は全員が関わるため、一般職全員を対象とした研修を企画しました。
Aoba-BBT山口:
元々ご相談を頂いた際は、「ヒアリング力」、「壁打ち」、「提案力」の向上というキーワードを頂きました。大人数で時間の制約条件もある中で、効果的なプログラムとしていけるよう検討し、ご提案を進めていきました。
三浦様:
元々は各地域本部を訪問する出張型の研修も検討していました。検討当初は新型コロナウイルス感染症の拡大前でしたが、今後どのように実施していくのか困っていました。そのタイミングでAoba-BBTからオンラインでの実施方法についてご提案を頂き、研修プログラムの実現に至りました。それまでは、オンライン研修はあくまで集合研修の代替と手段と考えていましたが、Aoba-BBTのAir Campus(Aoba-BBTが提供する遠隔教育システム)でのeラーニング配信やライブ講義内の個人ワークの時間など、オンラインならではの良さを活かすことで、効果的な研修が実現できると感じました。
また、ロジカル・シンキングの内容としてもAoba-BBTから提案のあった「事業部長の視点」で物事を見ることをはじめ、学んだことをいかに現場で活かすかという視点での設計も効果的であると感じました。
Aoba-BBT山口:
今回の研修では、eラーニングでの事前学習、オンライン研修(7回に分けて実施)、事後課題、現場での実践の4段階で検討しましたが、自分のペースで学習することと集合研修の良さの両方を活かすという意図をもって研修を企画できました。
3.実際に「ロジカル・シンキング研修」を実施した結果・成果について
磯野様:
コロナ禍という制約があるなか、反転学習とまではいかないものの、eラーニングで知識をインプットし、その後にオンライン研修を行う流れはとても良かったと思います。
三浦様:
実際に研修を実施し、様々な意見を頂きました。研修の満足度も集合研修と変わらず高い数値ですし、研修で学んだことを活かせているという回答も多数あり、実施して良かったと思っています。プラスの意見としては、自分のペースで研修を実施することができたという声などがありました。今回のロジカル・シンキング研修を受けた受講者が、もっと学びたいと別のロジカル・シンキング研修に自ら手を挙げて参加する社員もいました。今回の研修を受講して、自分に足りない点が明確になり、主体的に学ぶような動きも出てきています。一方で、内容は良いとしつつもボリュームの多さや業務との兼ね合い等、学習時間の確保が大変だったなどの感想もありました。「いつでも学べる」は「いつ学ぶの?」という葛藤の面もあるということですね。
Aoba-BBT山口:
主体的なアクションが生まれるのは素晴らしいですね。
三浦様:
オンラインを軸とした研修は一人ひとりにとって柔軟なプログラムが設計できることが良いと思いますが、今回は1,000人を超える社員に一斉かつ受講必須で行う研修であったため、フォローもしっかりと行う必要がありましたが、Aoba-BBTや現場の管理職と連携し、受講者の促進等を進めていくことができました。
Aoba-BBT山口:
人財育成には、一人ひとりの主体性・自律的な学びが重要になってきていますが、1,000人という大規模人数に対して研修を行う場合には、受講者へのフォローを行い、少しでも多くの方に主体的に学んでもらうことがポイントになると思っています。
三浦様:
最終的には受講者一人ひとりに、なぜ受講すべきなのか、腹落ちしてもらうことが重要です。そこで磯野と二人三脚で各部門責任者に事前説明に回りました。このような地ならしに加え、オンライン研修の冒頭では通常よりも多くの時間を取り、磯野から直接受講者へ経緯や目的を語りました。
研修中や受講後の変化などは、何かありましたでしょうか
三浦様:
はい。研修を受講中の社員の上司から「これは重要な研修だからしっかりと最後まで受講するよう指導する」といったコメントを頂いたり、社内での「壁打ち」ミーティングで、研修で学んだ考え方を使ったディスカッションがなされていたことを耳にする機会があり、研修を開催して良かったと感じています。
Aoba-BBT山口:
上司が部下の学習を支援する姿勢が出ているのも素晴らしいですね。
三浦様:
研修後の受講者アンケートでは、今後どのような研修が必要かについても回答があったため、この声を活かし、今後の研修プログラムの提案に活かしていきたいと思っています。また、一般職が何を学んだかも管理職層に伝えるという観点で、販売本部の全管理職に向けて、本研修の講師も務めたAoba-BBT講師高松康平氏の著書※を配布しました。
※『筋の良い仮説を生む問題解決の「地図」と「武器」』(朝日新聞出版)
4.貴社の今後の展望について
三浦様:
今回の研修受講者アンケートを踏まえ、ニーズの高かった内容から優先的に研修を企画していきます。今回のロジカル・シンキング研修は、共通言語としてベースを揃える目的で一般職全員を対象に行いましたが、今後は挙手制やターゲットを絞った研修を行っていきたいと思っています。また、アンケート結果に直接的に表れていない課題についても掘り下げ、企画を進め、「壁打ち」をリードしていくような人財も育成していきたいですね。
Aoba-BBT山口:
「壁打ち」の場などでも、ロジカル・シンキングのスキルをベースに、入れ替わりで様々な方がリーダーシップを発揮していけると良いですね。
磯野様:
2021年10月以降、販売本部の枠を超えて全社の人財育成を担うこととなりましたが、ビジネスパーソンに必要な要素を3階建てに構造化した考え方に変わりはありません。今後は、社員一人ひとりが自律的に学ぶ文化を醸成することにもチャレンジしていきたいと考えています。
Aoba-BBT山口:
これからの時代、学習する力が重要になってきます。学びの大切さへの気づきを与えていくこと、学びに貪欲な方がチャンスを得ていくような仕掛けや仕組みも重要ですね。
磯野様:
勿論、学ぶこと自体大切ですが、激しい競争に晒されている民間企業である以上、学びと仕事の成果の関係性にもこだわっていきたいと思っています。
Aoba-BBT山口:
今回のロジカル・シンキング研修の設計コンセプトでもそうでしたが、アウトプットや実践を踏まえたプログラム設計が大事ですね。
磯野様:
Aoba-BBTの皆さまとは、今後もより本質的な人財育成に向けて様々なご提案を頂けることを期待しています。
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