人材育成マガジン
若手、中堅、経営層、世代ごとに異なるスキルを磨け!21世紀のリカレント教育所「LTE STATION」活用のススメ
~人生100年時代に備える「リカレント教育」のあるべき姿~
今、社会人の学び直し=「リカレント教育」が注目されています。国もリカレント教育の推進に力を入れ始めていますが、政府が行おうとしているリカレント教育の施策は、「中高年層の再教育・再就職」が主眼となっています。しかし私たちBBTが提唱しているリカレント教育は違います。BBTでは、「劇的な経済の変化に対応し、時代に淘汰されない力をつけるための、若年からの継続的な学び」こそが今の時代に求められているリカレント教育であり、「企業にとって重要な人材戦略」であると考えています。 今回は、BBT大学学長 大前研一による講義『世界のリカレント教育の動向と日本への提言~人生100年時代に備える「リカレント教育」のあるべき姿とは?~(2018年11月開催)』から、「これからの日本企業にとって必要なリカレント教育とは何か?」「21世紀の日本のリカレント教育はどうあるべきか?」をご紹介します。
それぞれの世代に応じた、10年に一度の「学び直し」を!
21世紀はデジタル化による破壊的変革が、ほぼすべての業界で進行する「デジタル・ディスラプション」の時代です。そこで必要となってくるのが、企業の人材戦略としての「リカレント教育」です。これからは、若手社員も経営者も、10年に一度は抜本的な学び直し(人材教育)をしなければ劇的な時代の変化について行くことができません。
経営者・人事担当者は、20代・30代・40代・50代、と各年代別に学ばせるべきスキルとマインドとは何か? 考え、各世代に応じたプログラムで計画的に再教育することが求められています。人材の能力や求められるスキルは役職とともに変化するため、それぞれの世代に応じた「学び直し」をするべきなのです。
若手、中堅、経営層、世代ごとに必要とされるスキルとは何か?
ここで、「世代ごとに必要なスキル」とはどのようなものか? について整理しておきましょう。まずは「問題解決力」です。問題解決の力というものは、新入社員から中間管理職、経営者にいたるまで、すべてのビジネスパーソンに等しく必要とされるスキルです。これは20代の時から鍛え始めて、一生涯にわたって勉強し続けてければなりません。
それから「ハードスキル」。これは、IT、ファイナンス、マーケティング、統計などに関するスキルです。これらは若い頃にしゃかりきになって身に付けてほしいスキルです。
次に「ソフトスキル」。これはリーダーシップやコミュニケーション力です。英語力もここに含まれます。これも問題解決力と同様、一生涯にわたって必要とされるスキルですので、年齢が上がっていっても継続的に学び、鍛えていくべきものです。
そして役職が上がっていくほどに重要になっていくのが「構想力」です。つまり、0(ゼロ)から1(イチ)をポンと考える力、無から有を生み出す思考力・発想力です。これはこれからの経営を考える上で、また経営に変革を起す上で非常に重要なスキルです。
これらのスキル、特に構想力を身に付けておくことは、21世紀のビジネスパーソンにとって非常に重要です。なぜならそれは、AI時代、近い将来訪れるであろうシンギュラリティ(AIが人間の知性を超えることによって起こる世界の大変化)を生き抜くために必要な能力、AIでは代替できない能力だからです。
10年ごとにスキルを磨くリカレント教育所「LTE STATION」
前述のように年代別に求められるスキルが変わっていく中で、企業はどのようにリカレント教育を行っていけばよいのでしょうか?
これまでの年功序列型の会社組織では、「年齢とともに、まとめ役的、易しい仕事になっていく」という仕組みになっていました。人事部も、社員教育といえば役職ごとの階層別研修を重視した研修体系をつくり、何十年も同じような年功序列型の研修を継続してきました。
しかし、激変する21世紀ではそのようなシステム、発想は通用しません。社員教育・人材教育も、年齢とともに、まとめ役的な「易しい仕事」が増えるのではなく、より高度な仕事をこなしていく、というキャリアパスに基づいた再教育が必要となってきます。
これからの企業は、今の時代に対応した“新しい教育の仕掛け”をビルトインするべきです。その仕掛けの基本は、「仕事をやりながら学んでいく」「仕事の中から、新たに学ばなくてはいけないスキルが見えてくる」そのスキルを「働きながら補給していく」、というものです。
私は、これからの企業には「10年ごとに、人材のスキルを大きく磨き上げるシステム」を埋め込むべきである、と提案しています。私はそのシステムを「LTE STATION」と名づけました。LTEとは、「Life Time Empowerment = 生涯活力の源泉」という意味です。
「教育」を受けながら「新しい仕事」をする。その成果を見ながら、次のチャレンジに必要なスキルを「LTE STATION」から給油する(学ぶ)。そしてさらに次の10年に向けてより高度な実務にチャレンジする。これを繰り返すのです。次の10年の走行に必要な補給所「LTE STATION」が、人と企業がこれからの時代を生き残るための“リカレント教育所”となるのです。もちろんBBTも「LTE STATION」の一つであることは言うまでもありません。
社長と人事部にとっては、この「LTE STATION」を最大限活用し、年代別に計画的に社員教育をしていくことが重要な仕事と言えるでしょう。そして、Real Time Online Learning 、つまり、世界最先端の事例やテクノロジーなどをリアルタイムで、かつオンライン上で学べるシステムを通して社員に提供していくことが重要です。
あなたの会社には「30歳までに社長が務まる人材」を育てる仕組みがあるか?
最後に、年代別の社員教育方法について私からの提案を述べておきます。
まず新入社員の教育ですが、これは、前年に入社した社員にやらせるべきです。理由は、新人に古株の古い仕事のやり方を教えないためです。そのためにはサイバーエージェントなどが実施しているような「新卒社長制度」(新入社員に社長をやらせる)などを導入するのもよいでしょう。
とにかく、20代、30代の若手は「徹底的に鍛える」ことが重要です。人材育成は30歳までが勝負です。自社の現在の社員教育システムが、「30歳までに社長が務まるような人材を育てる仕組みになっているか?」を見直して、問題があれば新しい人材育成システムを構築してください。ちなみに30歳を超えた人間を鍛え直す方法は2つしかありません。「厳しく成果を問うて恐怖のどん底に突き落とす」か「金銭的にけた違いのインセンティブを与える」か、です。
40代を越えた中堅以降は、コア人材(経営者・幹部候補)の選抜・育成と、ノンコア人材向けの新規事業チャレンジ支援などを分けて行なうべきです。コア人材には、後継者候補として3つの課題を与えましょう。
①既存事業を伸ばす
②新規事業を立ち上げる
③コストダウンを徹底する
の3つです。
ノンコア人材の場合は、
①「年齢+勤続年数=75歳」で定年にする
②それまでに新規事業へのチャレンジなどの道筋を見せる
③労働時間の15~20%を、社会貢献や自己啓発に割当てる
④リバースメンター制度(若手が年長者のメンターになる)を導入する、
などの取り組みを行なうことをお勧めします。
21世紀は、自ら学ぶ人以外は生き残ることができません。皆さんそのことをしっかりと認識し、人生の節目でまとまった時間をとって学び直しをするべきです。そして企業は、「20代からの10年ごとの再教育」こそが真のリカレント教育であり、21世紀の人材戦略の要となることを再認識し実践してほしいと思います。
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