人材育成マガジン
伝統的日本企業でのリアルDX
本記事は、ビジネス・ブレークスルー(BBT)が提供する、7,000時間超のビジネス動画が見放題の学習サービス「AirSearch」より「伝統的日本企業でのリアルDX 講師:東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 江崎浩氏」を一部抜粋した内容です。
AirSearchはビジネスの課題を解決する知識やスキルを習得することができ、企業研修としても取り入れられています。
伝統的日本企業でのリアルDX
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、単にITツールを組織に導入することではなく、組織の目的、役割、体制、分担を決めた上で、デジタル技術を活用して組織を根本から変革し、効率化することです。
しかし、現実には、DXを成功させた日本企業は少ないという実情があります。
そこで、株式会社KADOKAWA Connected代表取締役社長の各務茂雄氏に、従来の企業がDXを現場レベルまで落とし込むにはどのようにすればよいかを伺いました。
株式会社KADOKAWA Connectedは、出版、映像、ゲーム、Webサービスなどを手がける総合エンターテインメント企業、角川グループのDX推進子会社です。
角川グループにとって、知恵と創造力というアナログの価値を活かすことは必須であり、その価値を高めるためにデジタル技術を活用していく必要があります。
具体的には、クリエイターと消費者をつなぎ、その間の中間マージンを徹底的に分配することがDXの目的です。
そのために各務氏が推奨するのは、「どのように変革し、どのようにゴールを目指すのか」を明確にすることと、「どのような技術やツールがあるのか」を理解することの2つのステップです。
そして、DXの効率と効果を高めるために、適切な技術を適切な方法で、適切な場所に適用できることが重要です。
各務氏はさらに、DXの導入に取り組む際には、企業や組織のレベルから、新しいシステムに接する個人やユーザーとしての考え方まで、デジタル変革における人の機能と役割を理解することが不可欠だと説明します。
各務氏は、DXとは、単にデジタル技術を導入し、既存のプロセスを自動化することではなく、組織やユーザーの意識を改革し、生産性や効率性を全員が適切に得られるようにすることであると述べます。
そして最後に、デジタル・プロセスの内容を理解するための明確な仕組みを作り、その効果を確認するために慎重に評価を続けることだと言います。
例えば、出版バリューチェーン全体を最適化するために、デジタル思考やテクノロジーをどこに導入するかを決める必要があります。
その際、社内の様々な機能を横断するDX推進チームを作り、マネジメントを強化することが非常に重要となります。
実際に変革するとなると、社内の多くの人材を巻き込む必要が出てきますが、人材にもいろいろなタイプがあるので、DXを推進する仲間になる人とならない人を見極めるために一般にマーケティング分野で言われる「キャズム理論」を適用することが効果的です。
ヒト・モノ・カネ・ノウハウという経営資源の中で、ヒトを獲得し、変えていくことは最も困難な点です。
物理的にも、精神的にも、そして感情的にも、膨大な資源を必要とします。
そのため、チームの目的と、その目的を達成するための施策の成果を明確にすることが重要です。
そのためには、DXの取り組みを包括的に整理し、ワークフロー全体をアウトライン化することが必要です。
DXを成功させるためには、チームとして行うこと、成功の基準を明確に定義し評価すること、継続できる仕組みを徹底的に組み込むことが必要です。
サービス型のチームを作る方法として特に重要なのは、
1.職務の役割分担の明確化
2.コミュニケーションの最適化
3.実力主義による多様性
です。
そのためには、役割分担表、コミュニケーション・ポートフォリオ、ピープル・ポートフォリオ・マネジメントなどを活用し、必要であれば人事制度の変更も行います。
役割分担の制度を設けるには、特定の職能に付随する多様な業務を詳細に検討し、それぞれの役割に適切な人材を配置することが必要です。
また、組織のメンバーが自分の役割に応じ
機能配分や責任、期待されるアウトプットの質などを明確に理解することが重要となります。
さらに、チーム間の効率的な連携と協力を確保するために、人事制度は定期的に見直す必要があります。これは、ロール・アサイン・リストによる新しい職務の指定、トレーニング/メンター制度などを通じて実現することが可能です。
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